家の襖(ふすま)に、不注意で穴をあけてしまったり、だいぶ古くなってきたりして、張り替えたいのに、どうやっても上手くできない。
自分で張り替えてみたけど、失敗してしまったという場合でも、一度はがしてしまった以上、できないからと言って諦めるわけにもいきません。
実は、襖の張り替えが、上手くできないことには、いくつか理由があります。
襖の種類や糊(のり)との相性、湿(しめ)らせ具合など、事前にポイントを押さえておかないと、上手く張り替えが出来ず、何度も失敗してしまうなんてことも。
それに、途中で使うものが足りないと、作業を中断しなければいけなくなって、やる気もそがれてしまいます。
そうならないためにも、事前準備をしっかりと行い、失敗しないように襖を張り替えるポイントを、お伝えしていきます。
襖の張り替えが上手くできないのはなぜ!?
襖の張り替えは、張ってはがすだけなのだから、そんなに難しいことはないだろうと、勢いでやってしまったけど、上手くできないと途方に暮れてしまいます。
上手く張り替えができない理由を見つけないと、いつまでも仕切りのない部屋で過ごす事になってしまうのでは?と焦ってしまいますよね。
襖を張り替えるときには、注意しなければいけないポイントがたくさんありますので、しっかりとおさえていきましょう。
まず、襖にも種類があり、おもに本襖(ほんぶすま)と戸襖(とぶすま)に分けられます。
また、簡単なつくりの、段ボール襖や発泡スチロール襖というものもあります。
襖の中に、身近にある素材が使われていたなんて、考えたこともありませんでした。
また、のりで貼るタイプ、アイロンで張るタイプ、粘着シールタイプなど、張り方もいくつかありますが、中には襖紙との相性が悪い方法もあるのです。
何度やってもできない場合には、相性が悪いことも考えられますので、まずは種類や相性について確認していきましょう。
襖の張り替えは種類と相性がポイント!
襖には、いくつか種類があるとお伝えしましたが、それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
昔ながらの襖といえば、おおむねこの本襖のことをさすでしょう。
骨組み、枠組みともに木で出来ていて、通気性が良いことが特徴です。
外枠をはずすことが出来るため、素人(しろうと)では難しいですが、木が折れてしまった場合でも、一部分だけを修復することも可能です。
そのつくりから、量産することは難しいため、他のものと比べて購入金額は高くなりますが、一度買ってしまえば、維持費用は安くつきます。
昔は一つのものに対して、愛着を持って、壊れても修理しながら、大切に使っていたんだろうなと想像出来ますね。
戸襖は、洋室と和室の境(さかい)に使われることが多く、和室側には襖紙、洋室側には壁紙が貼られていることもあります。
格子に、ベニヤ板が貼ってあるため、丈夫に出来ていて、襖を叩いた時に、コンコンと木の音がするので、すぐに見分けがつきます。
戸襖は、枠が取り外せないため、襖紙や壁紙は、はがさず上から貼るのが一般的です。
張り替えと聞くと、枠以外全部はがして一から貼り直すイメージだったので、上から貼ってもいいのなら、簡単そうに感じますよね。
段ボール襖は、そのままだと、湿気を吸ってしまうため、アルミ箔(はく)の防湿シートが貼ってあります。
張り替えの際に力をくわえると、段ボールが沿ってしまうため、張り替えには不向きといえますね。
発泡スチロール襖も、変形しやすいことから、張り替えは困難で、表面の凹凸(おうとつ)が目立ってしまい、見た目が悪くなってしまいます。
価格も安価なため、張り替えずに、まるごと交換されることも多いようですが、自分で張り替える場合は戸襖同様、はがさずに上から貼りましょう。
襖の相性と張り替え方法
襖の種類によって、こんなに特徴や扱い方があるなんて、びっくりですよね。
その素材によって、相性があるため、張り替えの方法も当然異なります。
誤って相性の悪い方法で、張り替えを行なってしまった場合には、失敗してしまうことになるので、襖に合わせて相性の良い方法を選びましょう。
昔ながらの方法と言えば、自分でのりを溶(と)いて貼る方法を思い浮かべますよね。
しかし、最近では自分で張り替えがしやすいように、工夫された襖紙も販売されています。
今回は、比較的簡単に張り替えが出来る、再湿のり、両面テープ、アイロンの3種類の張り替え方、襖との相性も紹介します。
再湿のりタイプ
本襖 | 〇 |
戸襖 | △ |
段ボール襖 | × |
発泡スチロール襖 | × |
水で湿らせると、溶けるのりがついているので、自分でのりを溶く手間も省(はぶ)け、塗りムラも防ぐことが出来ます。
本襖は、木枠の部分が浮きやすいため、密着させることのできる、再湿のりが向いています。
段ボール襖や、発泡スチロール襖は、のりが乾くと反り返ってしまう為、この方法は使えないので、別の方法で貼るようにしてくださいね。
のりで張り替えるタイプは、のりが乾くまでの間、張りなおすことが出来るため、一人で作業をする場合でも、失敗の少ない方法と言えますね。
しかし、水が十分に染み込んでいないまま張り付けてしまった場合、乾燥した時に、デコボコしやすくなってしまいます。
しっかり染み込むまで待ってから、作業を始めることがポイントです。
私は短気なので、待つのは苦手なタイプですが、この工程を飛ばしてしまうと、後で失敗の原因になるので、我慢強く待ちましょう。
粘着テープタイプ
本襖 | △ |
戸襖 | 〇 |
段ボール襖 | 〇 |
発泡スチロール襖 | 〇 |
粘着テープタイプの襖紙で貼る場合は、どの襖にも使うことが可能ですが、本襖の場合、木枠の部分が浮いてしまうことがあります。
一度張り付けてしまうと、剥(は)がすのはなかなか難しく、一発で張り付けなければならないため、難易度は高いかもしれません。
襖をピンとのばして、曲がらないように貼ることも難しいため、2人で作業した方が良さそうです。
のりと違い、水を浸透させたり、乾かしたりする手間は省けるため、時間があまりないときには、おすすめの方法といえますね。
しかし、空気が残ってしまったり、シワになってしまったりと、失敗も多いので、焦らず慎重に行いましょう。
アイロンタイプ
本襖 | △ |
戸襖 | 〇 |
段ボール襖 | 〇 |
発泡スチロール襖 | × |
アイロンの熱によって、溶ける粘着がついており、襖紙のうえからアイロンを当てて、張り付けるタイプです。
初心者でも、比較的簡単に張り替えの出来る方法なので、初めはこの方法を試してみると良いですね。
本襖については、木枠部分以外がくっつきにくいことがあるので、注意しましょう。
また、発泡スチロール襖は、熱に弱く変形してしまうため、使えません。
両手でおさえながら張り付ける必要がないため、粘着テープタイプより、大きな失敗は少ないかもしれません。
アイロンを当てる際は、スチームの出る部分が先に当たるよう、アイロンの先端の方向に動かしましょう。
また、アイロンの方向を変えるときは、必ず一度アイロンを持ち上げてから、方向を変えるようにしましょう。
知らないと、適当にアイロンを当ててしまいそうになりますよね。
しかし、適当に当てていると、どこが当たっていない部分なのか分からなくなってしまいそうなので、場所を区切ってまんべんなく当てることが大切です。
襖の種類や、襖紙によって、張り替え方が結構違いましたね。
しかし、襖の張り替えは、初心者には難しく、失敗してしまうこともよくあります。
何度も失敗してしまうのは、時間とお金がもったいないので、なるべく失敗しないよう、失敗例をみていきましょう。
襖の張り替えでよくある失敗とは!?
襖の張り替えをやってみたけど、上手くいかずに、失敗してしまうことは、少なくありません。
まずは、襖と襖紙の相性をチェックして、失敗の原因がなかったか確認してみてください。
張り替え方や、襖との相性は問題なかったはずなのに、失敗してしまった方も、よくある失敗例や対処法をご紹介しますので、もう一度チャレンジしてみましょう。
襖がデコボコに波打ってしまった
襖がデコボコに波打ってしまう原因は、いくつかあります。
まずは、再湿のりタイプの場合、襖紙を水で湿らせる必要がありますよね。
襖紙は、水にぬれると伸び、逆に乾燥すると縮むという性質があります。
そのため、十分に水が染み込まず、紙が伸びきっていないまま貼ってしまい、乾いて縮んだ際には、デコボコになってしまうことがあります。
張り付けた後、まだ湿っている状態で、デコボコしているなら、乾燥すればある程度気にならなくなることもあるので、まずはしっかりと乾燥させてみましょう。
再湿のりタイプの襖紙での失敗を防ぐには、しっかりと水を染み込ませた状態で、全体に均等に馴染むまで放置することが大切です。
ここは焦らずにテレビでも見ながら気長に待つようにしましょうね。
他にも、アイロンタイプの襖紙の場合は、スチームを出すため、紙がその湿気で伸びた状態で接着します。
そのため、スチームが均等に当たっていないと、たるみが出来てしまい、デコボコになり、失敗の原因となってしまいます。
簡単だと思っていたアイロンタイプでも、途中でデコボコしてきてしまうと、かなり焦ってしまいますよね。
低温で当ててしまうことで、膨らみがでやすくなりますので、アイロンを動かす際は、出来るだけゆっくり動かしながら高温スチームを全体に当てるようにしましょう。
万が一、デコボコにふくらんでしまった場合でも、高温スチームを当ててから、ドライアイロンを当てることで、修正出来る可能性があります。
また、強い力で押してしまうと、骨組みのあとが残ってしまうことがあるので、注意しましょう。
接着が弱く剥がれてしまう
枠をはずさずに張り替える場合は、どうしても接着が弱くなってしまいます。
また、襖紙との相性が悪い場合や、下地に凹凸があったり、汚れがあったりする場合も、すぐに剝がれてしまうこともあります。
せっかく苦労して貼った襖が、簡単にはがれてしまったら、とてもショックですよね。
まずは、襖紙と、襖自体の相性を確認して、問題がないようであれば、接着面にホコリや油分などの汚れがないかをチェックします。
凹凸や汚れがあれば、接着面の汚れをキレイに拭き、平らにしてから、新しいものを貼るようにしましょう。
また、貼る際にしっかりと圧着するよう、ヘラで空気を抜くことや、アイロンをしっかり当てることで、剥がれるリスクを減らすことが出来ます。
空気を押し出すとシワがよってしまった
再湿のりタイプの襖紙を貼る時や、アイロンのスチームなどで、水を含んだ場合、張り替えの途中にたるみができることがあります。
たるみを直そうと、空気を押し出したところ、余った紙が重なってしまい、シワになってしまったという失敗例もあります。
襖紙は、乾くと縮む性質があるため、ある程度目立たなくなりますが、重なった状態でくっついてしまっていると、直すのが困難な場合も…。
また、段ボール襖などの場合などは、湿気を吸い込みやすく、戻ったと思っても、湿気の多い時には、たるみがまた出てきてしまうこともあります。
そのため、出来るだけしっかりと伸ばし、たるみのない状態で貼っておく方が良いでしょう。
また、梅雨の時期などは、部屋の湿度をい一定に保つことで、あとからたるみが出てくるのを、予防することが出来ます。
襖の張り替え時の、失敗例をいくつかご紹介しましたが、簡単そうにみえても、失敗することは結構あるんですね。
「どうしても、失敗したくない!」という方は、業者に頼むことも1つの手です。
職人さんに頼むなら、結構高額になるんじゃない!?と思われるかもしれませんが、平均すると、3,000円~5,000円で頼むことが出来ますよ。
手間や、失敗のリスクを考えると、そう高くはない値段なのではないでしょうか。
まとめ
- 襖には、種類があり、扱い方が違うので張り替えの際は、特性を知っておいた方が良い。
- 襖の張り替えができないのは、襖と張り替え方法の相性が原因のこともある。
- 襖の張り替えが上手くできないのは、紙が伸びきっていないうちに張ったことが、原因のことが多い。
- 襖の張り替えができない時は、業者に頼む方法もある。
襖の種類によっては、張り替えが難しいものや、やり直しがきかないものもありました。
一度失敗をして、やり直す際は、次こそ失敗しないよう、張り替えのポイントをしっかりおさえたうえで行いましょう。
コメント