混ぜるな危険、って言われると混ぜてみたくなっちゃいますよね。
それが人の性(さが)……なんて言い訳しても、混ぜるワケにいかないのが大人ってもの。
むしろ面倒事を避けるためにも、正しい知識を持ってなにが危険か判断しなくてはいけません。
何と何を混ぜると危険なのか、あなたは本当に理解していますか?
日常生活で「混ぜるな危険」を意識するのは主に掃除の場面だと思います。
場所や汚れによって使う洗剤を変えると、短時間で楽に掃除が進められます。
そしておうちでの使える万能アイテムとして紹介されるのが重曹です。
この重曹と他の洗剤を混ぜると危険なことはあるのでしょうか?
この記事では重曹とどの洗剤を混ぜると危険なのかをまとめました。
正しい知識を身につけて、安全に重曹とつきあっていきましょう。
重曹に混ぜると危険なものは?!本当に危ないのはこれ
結論からいうと、重曹と混ぜると危険な洗剤はありません。
いわゆる「混ぜるな危険」という洗剤は塩素系洗剤と酸性洗剤のことです。
塩素系洗剤とは、次亜塩素酸ナトリウムが含まれているアルカリ性洗剤のことです。
漂白剤やカビ取り剤、除菌剤として売られているものに多いです。
プールのような独特の臭いのするあれですね。
酸性洗剤とは言葉通り、酸性を示す洗剤のことです。
お風呂掃除用洗剤に多いほか、ナチュラルクリーニングとしてしばしば使われるクエン酸も含まれます。
塩素系洗剤と酸性洗剤を混ぜると、塩素ガスが発生し最終的に死に至る可能性があります。
ひとまず塩素系の漂白剤にクエン酸を混ぜると命の危険がある、と知っておいてください。
漂白したあとにクエン酸で掃除する程度でも、塩素ガスが発生する危険があります。
命がけのうっかりが発生しないようにぜひ気をつけていきたいところです。
重曹の性質について詳しく知っておこう
では重曹について改めて考えてみましょう。少し化学っぽい話になりますが、知っておくと掃除がより効率よくすすみますよ。
重曹も環境に優しいナチュラルクリーニングとしてよくあげられます。
重曹ひとつあれば、家全体の掃除で使えますよね!
この重曹、水に溶かすと弱いアルカリ性を示します。
そして酸性の洗剤と混ぜると、中和して二酸化炭素が発生します。
もちろん二酸化炭素は吸っても問題ありません。むしろ気体が発生するときにいっしょに汚れを浮かせてくれることもあります。
また、塩素系洗剤もアルカリ性の洗剤です。重曹と混ぜても何かが発生するということはありません。
なので重曹に「混ぜるな危険」はないんです。悪い物質が発生することはありません。
これからも安心して使えますね!
でも重曹と他の洗剤と混ぜて使うのは、本当に効果的な掃除方法なのでしょうか?
重曹に混ぜるべき洗剤はある?過炭酸ナトリウムは?
重曹は水に溶けにくい、非常に硬く細かい結晶です。
なので研磨剤として働き、こびりついた汚れをこそぎ落とすことができます。
これに洗剤の洗浄力が加わったら最強の掃除アイテムになってしまいますね。
それではどの洗剤に混ぜるのがいいのでしょうか?
調べてみたところ、重曹を混ぜると効果があがるという洗剤はありませんでした。
むしろ効果が弱まってしまうことが多かったです。
ただし、重曹を混ぜるメリットが全くないわけではありません。
重曹は少量の水に溶かすとペースト状にすることができます。
すると壁などの垂れて流れてしまいやすいところに張り付けることができるんです。
水の代わりに洗剤を使うことで、壁の汚れにも長時間洗剤をつけておくことができるというわけです。
ただし水洗いできない場所や大理石、アルミ、銅などのアルカリに反応してしまう場所には重曹は使えません。
うっかり変色させないように気をつけましょう。
ここからは、それぞれの洗剤に重曹を混ぜるとどうなってしまうのかをまとめてあります。
どのくらいのデメリットがあるのか、メリットと合わせて検討してみてください。
過炭酸ナトリウム・オキシクリーン
過炭酸ナトリウムとは炭酸ナトリウムと過酸化水素が2:3の割合で混ざったものです。
オキシクリーンなどの酸素系洗剤の主成分ですね。
殺菌、漂白だけではなく排水溝や洗濯槽の掃除にも使える優れものの洗剤が過炭酸ナトリウムです。
過炭酸ナトリウムは重曹よりも強いアルカリ性を示す液体です。
なので過炭酸ナトリウムに重曹を混ぜるとアルカリ性が弱くなり、カビを分解する力も弱くなってしまうんです。
なので重曹の研磨力を足したいときは、過炭酸ナトリウムで洗ったあとに重曹をかけてこする、というように分けて使うのがおすすめです。
ですがあえて壁に長時間使いたい!という場合には重曹を混ぜてペースト状にするのも手です。
多少弱くなっても、十分な洗浄力は残っているからです。
使いたい場所や状況によって重曹を混ぜるか判断していきたいですね。
塩素系洗剤
先ほども説明したように、塩素系洗剤とは次亜塩素酸ナトリウムが含まれているアルカリ性洗剤のことです。
酸素系洗剤と同じく、重曹を混ぜるとアルカリ性が弱くなってしまい洗浄力なども落ちてしまいます。
重曹に少量の塩素系洗剤を加え、ペースト状にする技は使えます。
壁の掃除に使うときはデメリットも含めて検討していきたいですね。
セスキ・セスキ炭酸ソーダ
セスキはセスキ炭酸ソーダのことで、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウム、すなわち炭酸ソーダと重曹を1:1で混ぜた粉末です。
これも重曹より強いアルカリ性を示し、重曹よりもよく汚れを落とします。
このセスキに重曹を混ぜても反応することはなく、ただ重曹とセスキが混ざったものが出来上がります。
水に溶かすとアルカリ性が少し弱まるので、やはりセスキの強い洗浄力は弱まってしまうんです。
また、セスキは重曹は見た目がよく似ているのですが、使い勝手が違います。
セスキは水によく溶けるのでつけ置き洗いが得意です。高い洗浄力を持ち、雑巾に少しつけてふき取るだけで汚れが簡単に落とせます。
一方、重曹は水に溶けにくいです。そのためペースト状にして壁につけたり、こすり洗いに向いています。
重曹は物理的に汚れをこそぎ取るのでどんな汚れにも対応できます。
それぞれの特徴を生かすためには、混ぜるのではなく使い分けていくのがいいですね。
酸性洗剤・サンポール
重曹は水に溶かすとアルカリ性を示しますよね。なので酸性洗剤と混ぜると中和して、洗剤の効果も重曹の効果も弱めてしまいます。
これはペースト状にしても同じことなので、混ぜない方がいいです。
せっかく用意したのに、効果がないとなるとショックですよね。
酸性の洗剤を使うときは重曹を使うのはやめておきましょう。
サンポールを使ってサビ取りをしたあと、重曹水で中和するといいという噂を聞いたことがありませんか?
この方法はあまりおすすめできるものではありません。
サンポールを使ったサビ取りは、金属を劣化させて無理やりサビを落としているんです。
重曹水で中和しても金属の劣化は止まりません。
あっという間に金属部分がもろくなり、普通に使うより早く傷んでしまいます。
また、アルミや銅などのアルカリに反応する金属なら重曹水の効果で余計な変色を招いてしまう可能性まであります。
もしこの方法を試そうとしているなら、その金属は壊れてもいいものなのか、今一度考えてみてくださいね。
クエン酸
クエン酸も水に溶かすと酸性を示します。アルカリ性を示す重曹を混ぜると、中和して洗浄能力はかなり弱くなります。
ただし、中和すると二酸化炭素が発生し、液体内で発泡します。
この泡が汚れを浮かせてくれることもあるため、重曹とクエン酸を混ぜた液体につけ置きすることを推奨(すいしょう)している場合もあります。
洗浄力が不要な場合、汚れを浮かせることだけを期待するなら混ぜるという手もありですね。
クエン酸も重曹も口にいれても問題のない、ナチュラルクリーニングな物質です。
あなたの目的にあわせて、混ぜるかどうか選んでくださいね。
重曹を混ぜると危険なのは歯磨き粉!?本当に危ない方法
重曹は水に溶けにくく、そして研磨作用があります。
このことを利用して『歯磨き粉に重曹を混ぜて、歯の黄ばみとりに利用できないか』と考えられたこともあったそうです。
歯磨き粉と重曹なら簡単にそろうし、つい試したくなってしまいますよね。
ですがこの方法は本当に危険です!とりかえしのつかないことになる可能性があります。
頑固な汚れを落とすときに使われる重曹は、人間の歯を簡単に削ってしまいます。
削られた歯は汚れがついていないため、綺麗に見えるのですがこれは罠(わな)です。
削られて傷ついた部分には、これまで以上に汚れが付きやすくなります。
しかも細かい傷の中を歯ブラシで磨くことができず、簡単にはとれない汚れになってしまうんです。
削られた歯は元に戻ることがないため、ずっと傷ついて汚れやすい歯のままになってしまいます。
万能な汚れ落としだからって、人体の汚れに適しているとは限らないんですね…
歯は一生もの、取り返しがつかないものです。もしあなたが歯磨き粉と重曹での歯磨きを試そうとしていたなら、ぜひ踏みとどまってください。
使った直後はよくても、後悔することになるかもしれません。
まとめ
- 重曹を混ぜると危険な洗剤はない。
- 重曹を混ぜるといい洗剤もない。
- 洗剤に重曹を混ぜると洗浄力が弱くなる場合が多い。
- 重曹には研磨剤の効果がある。
- 重曹ペーストを洗剤でつくることで、壁掃除に使うことができる。
- 重曹を歯磨き粉に混ぜて歯磨きするのは危険
重曹はなんにでも使える万能な物質だと思われがちですが、洗剤と混ぜるものではないことがわかりました。
「混ぜるな危険」ではないものの「混ぜるがよし」ではないのは少し残念ですね。
ですが重曹にしかないメリットがあるのも確かです。うまく重曹や洗剤を使いこなしていきたいものですね。
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